Long Strange Days
タイトル
Long Strange Days
発売日
2019年11月15日
レーベル
Sally Production
コメント
例えば知り合いから彼らの音楽について「どんな曲なの?」と尋ねられたら、俺は「酒場が似合う」と答える。
酒場と言っても1人、2人で入るような落ち着いたバーではなく、地元の常連客で賑わう老舗の居酒屋だ。

彼らの音楽を以前から知っているが、今作も含めてずっと一貫しているものが2つある。

1つは『音楽性』。
彼らの音楽はローリング・ストーンズやオアシス、ボ・ディドリーといったアーティストたちを彷彿とさせる、シンプルなロックンロール、ブルースだ。
シンプルだからこそ伝わりやすく、何度聞いても飽きが来ない。
そしてシンプルが故に、凝った音楽が好まれやすい日本国内では珍しいタイプのアーティストだと思う。

もう1つは『音楽が連想させる景色』だ。
俺が彼らの曲を聞いていつも思い浮かべるその景色が、冒頭で述べた「地元の常連客で賑わう居酒屋」なのである。
40代、50代くらいの酔っ払ったサラリーマンたちが、肩を組んで歌っている。
偶然居合わせたOLたちも、体を揺らしながら手拍子をしている。
暖かなリズム、メロディー、大人たちの笑顔が集まるその中心に、彼らの音楽はとてもよく似合うのだ。
特別なことは何もいらない。
それぞれが当たり前に積み上げている生活の中で、一瞬だけ喜びを分かち合える。
そんな幸せなイメージを、彼らの音楽はいつももたらしてくれるのだ。


こういう言い方をされることを彼らは嫌うかもしれないが、『音楽性』も『景色』もはっきりと定まっている今作は、ある意味完成形と言っていいと思う。
みなさんにも是非、ハイボールを片手に聞いてほしい。

そしてマサキよ、そろそろ俺をライブに招待してくれ!
(文:小宮山晴希)