晩夏
全てを包み隠さず すりガラスの向こう

ぎりぎりの認識を逆撫でる 過去は虚ろ

近づく顔は 背筋を震わせ
「やっと見つけた」 微笑んだ頃 奔出する現実

決して鋭くはない亡き人の形見は 幾度もあなたにこすり付き
深く入り込み哲学を求め 悲劇を生むだろう
何もなかったこの場所に 小さな亀裂とその季節特有の匂い
見つけて見つけてと必死に泣いた僕と 無人駅のレインコート
建物の梁 ささくれた責任に 子供が走り回った跡がぐるぐると 今も残る

高速沿いの林に眠る4畳半の絆 残りは過去とコンクリートの中に 蠢く明日
ついばむ木の葉 その裏側は、曖昧

人が愛した 陰険さ煌々と
弱くて儚い、惨め、人の定めよ

それでも繋ぐ また笑えるその時まで

ただ歩く暗い道 孤独
無責任な言動が他人を励ます世界で 作った笑顔の奥に
「孤高の花」が百万と咲き乱れる

やがて 鮮明に 映り込む それは変わり果てた 自分自身
希望などない笑いごまかし 韻を壊し言葉を綴る