円い夜
夜雲が 藍 黒く
月を喰らう ように
身体の隅から
浸食してゆく

君がまた ないて
「連れてって」って言った

あの日 僕はまだ
聞こえない振りで

ぬるい空気を縫って
二人で歩いた

さみしい……

愛を求められる程
君は強くて

「幸せに生きていました。

だけど、悔やんでいました。」

悲しげに泣き濡れる
僕に 報いを

君が居る筈の
常世を夢見た
何処へ走っても
ねェ 届かないよ

笑顔ばかり思い出すのは
少し 軽薄かな
今は 何でもいいから
君に触れたい

巡り観た 梅の花
赤い糸の色しか
思い出せないけれど
それだけでいい

春と夏
秋と冬
君は待っていたけれど

冷淡に通り過ぎた

悔恨咲く
終わらない夜