Jul29
続・煩悩
2009年7月29日 成田どんぐり
帰国してからとゆうもの、奴は現地で交換し合ったメールアドレスをフルに活用し、複数の女の子とメールを交わす日々を送っていた。

そして帰国から一週間程経ったある日、僕らメンバーはSTASHとゆうバンドのライブを見る為、高円寺GEARとゆうライブハウスに向かった。
STASHは、当時、どこのライブハウスにおいても孤立していた僕らに優しく話しかけてくれた唯一のバンド。ただ残念な事に、既に解散が決まっていて、その日は僕らがSTASHを見る事ができる最後の日で、僕らはそれぞれに悲しさとやりきれなさを抱えながらも笑顔で彼らを送ってあげようと、重いながらもひょうひょうとしたなんだか不思議な足取りでライブハウスに向かった。
そしてSTASHの最後のライブを見終え、最後の打ち上げに参加すべく高円寺の居酒屋『大将』に入った。

「お疲れ様ー!かんぱーい!」
みんな笑顔だった。それでもどこか寂しさを隠せないまま、妙なテンションで打ち上げは始まった。
しかし開始から二十分、開始からわずか二十分しか経っていないにも関わらず、一人の男がテーブルに上半身を預け、うなだれる様に天井を仰いでいた。

クッチーだ。

奴はチューハイをジョッキ半分飲んだか飲んでないかくらいの状態で、既にベロンベロンになっていたのだ。
「大丈夫?」
STASHのメンバーが親切にもクッチーに話しかけてくれた。すると、「…んー、ダメ…。ごめん、今日はもう帰るよ。」と言い終わるが早いか、奴は席を立ち、みんなに軽く挨拶をし居酒屋を後にした。
「こんな特別な日にも関わらず早々と帰ってしまうなんて、よっぽど酔っぱらってたんだな。さては、すきっ腹だったな。バカな奴だ、ははは。」といつもの調子でおどける僕ら。
そんなほろ酔い気分の中、僕はふと我にかえる。実は僕も次の日の朝早くからアルバイトを控えていたのだ。しまった。残念だけど、仕方ない。そして、ふらふらした足取りで居酒屋を後にしたクッチーの事が心配だったってのもあり、奴が居酒屋を出てから二分程度の時間で僕も居酒屋を後にした。

どこかで倒れられてても困るな、とゆう心配心からから僕は少し急ぎ足でクッチーを追った。(だいぶ酔っぱらっていたみたいだからすぐに追いつけるだろう。)
ところが奴の姿は居酒屋を出てすぐの信号、喫煙所、改札にもない。まぁ仕方ないか、と諦めかけ駅のホームに立った瞬間、僕は絶望の向こう側を感じさせる程に禍々しいオーラを放つクッチーの姿を発見した。

それは、さっきまで立っているのがやっとなくらいフラフラな状態だったくせに、背筋をピンと立て、左手には和英辞典、右手にはケータイ電話を持ち、未だ見た事ないくらい真剣な顔つきでメールを打つクッチーの姿だった。
そう、奴は台湾人とメールしたいがあまり、酔っぱらった演技までし、感謝してもし尽くせないSTASHとの最後の時間をいとも簡単に裏切ったのだ。
言葉が出なかった。“欺く”、これでしか表現できない状況なんてのは僕の人生において後にも前にもこの時だけになるんじゃないだろうか。

そして奴の指が、まるで初めて彼女の乳首を辱める時のような、まるで初恋の女の子と踊るフォークダンスのステップのような、焦りと興奮を抑えきれないおぼついた動きをしているのを確認した後、大いなる勇気を持って話かけた僕に対し、
「へへ…。」
とだけ答え、奴はまた台湾に飛び立った。

以上が僕が知る限りでの奴の全てだ。
彼の名はネオ菊地、百九つ目の煩悩を持つ男。


ちなみに一昨日、STASHのボーカル、せんちゃんが彼女のゆりかちゃんと入籍したってゆう報せが届いた。おめでとう、せんちゃんは誰よりも優しくて、ゆりかちゃんはそれを守る強さを持っちゅう素敵なカップルやよにゃ。お幸せに。

はぁーぁ。オレも恋したいなぁ。ちょー守りたい。
明日は四谷OUTBREAKでライブする。500円で飲み放題らしいき、暇な人は遊びおいで。茅ヶ崎から台風みたいな女の子がやってくるってよ。
明日はどんな人が僕に挿入してくれるがやろう。シコシコして寝よう。

おやすみ
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