カゲロウ
干からびた細い路地を抜けて
見上げた空は積雲の都
蝉時雨 悲しみを唄う
鮮やかな日差しに溶けて

ゆるり揺られ消えては登る 遠く咽び鳴く泡沫の花
姿無きを追いかけ走る
無邪気な顔 あどけなくて

この街が小さくなったのか それとも背丈が伸びただけなのか
暖かな昼下がりを纏う
淡い懐かしみに触れて

ゆらり揺れる瞼の裏で
戯れ遊んだ夢を見ていた
「鬼さんこちら手の鳴る方へ」
振り返るも姿は亡くて

ゆるり揺られ消えてく友の 置き去りにした陽を追いかけて
泣けど泣けど然れど還らず
幼き面影残して