幾許もねぇ夜を
コオロギの鳴き喚く薄汚れた夜に
ロビーの邸へと忍び込んで行くのさ

闇夜にそびえ立つ高い鉄柵を越えて
ロビーの邸へと忍び込んで行くのさ
白い花咲き誇る 円い中庭を抜けて
イバラで包まれた西の塔を目指すのさ

月影に揺れる
夜明けまで残りあと僅か…

幾許もねぇ 幾許もねぇ
夜を駆け抜けて
幾許もねぇ 幾許もねぇ
夜を飛び越えて

星屑のルビーを盗め


ランプの灯りの照らす階段を上り
ドクロの左目の示す回廊を抜けて…
はぐれた潮風が窓を吹きつけた時に
執事が走り去る黒い影に気付くのさ


コオロギの泣き喚く薄汚れた夜に
執事が慌てて声を上げるのさ
静寂突き破り錆びた半鐘が叫ぶ
イカれたショウタイムは これから始まるのさ

気が触れた様に
夜だけが加速してゆく…