桜と僕ら。
君はふざけて僕を笑わせようとして
「またね」とほどいて上手く離れていくんだ。

自転車坂道上ったのは桜の下君が居て。
いくつも重ねて咲かせたのは一度散って願ったから。

赤い橋の上、受け取ったのは手のひらの上、枯れた花びら
雨も風も十分越えたし君に逢えて良かった。

ほら。待って。咲いて。
君の声がキモチ重ねた春の様だったから。嗚呼。
二つ重なって落ちていくよ。遠くなっていくよ。
遠ざかっていくよ。また桜が春を待つんだ。

赤い傘君に差し出したのは
次の春まで雨がよく降るから。
一歩ずつ下がって橋が終わる頃、
君の笑顔が少しだけ歪んだ。

振り向き歩み始めたあと、僕らと桜が街に消えて
見えなくなるまで。居なくなるまで。
残った花びら、終わる季節をせめて彩る。
せめて見守る。また桜は。

ほら。待って。咲いて。
君の声がキモチ重ねた春の様だったから 嗚呼
二つ重なって落ちていくよ。
遠くなっていくよ。
遠ざかっていくよ。
また桜は春を待つんだ。

君はふざけて僕を笑わせようとして
「またね」とほどいて上手く離れていくんだ。