May5
狩人達の夜
2012年5月05日 ユッキー
昨夜も夜勤で、睡眠不足のまま新宿ジャムへ向かう。

コンディションを考え、できる限り早く寝ようと試みた。

…ところが…

「奴」に出くわした。

そう、温かくなった時期に颯爽と現れ、本来特に害はないはずなのに、全人類から忌み嫌われる太古の生物。

あの生命力を称えて、あえて

「先輩」

と呼ばせてもらうことにしよう。


昨夜、そろそろ寝ようかと、思った時

先輩は突然現れた。

先輩は普段ならキッチンなどの水回りに現れるはずだが

昨夜の先輩は部屋の真ん中を散歩していた。それはもはや威風堂々とし、王者の貫禄すらある。

リラックスしていた私は、ふいに遭遇した先輩に驚き

反射的に

部屋の外に飛び出してしまった。ほんの少し奇声を上げながら。

今年の先輩もやはり動きにキレがある。みなぎるような生命力だ。

だが、人生には負けられない勝負もある。

そうだ、これは戦争だ。狩るか狩られるか、私と先輩の生き残りをかけたサバイバルだ。

対先輩用のスプレーを片手に私はもう一度部屋に戻った。

しかし先輩の姿は見えない。

そうなのだ

先輩は一度見失うと、なぜか目視が困難になる。きっとどこかで息を潜め、私の緊張をせせら笑っているのだろう。

こうなると道は一つだ。

私は至る所にスプレーを振り掛けた。

そして耳をすます。

私の攻撃がかすりでもしたなら、先輩の動きは激しくなる。まるで断末魔をあげてるかのように、先輩は身もだえする。

私は五感の全てを使い、先輩を捜す。

…しかし…

物音一つしない。

まさか私の攻撃がかわされたのか?

さらにスプレーをかける。

でもダメだ。

すでに遭遇してから戦闘は30分も続いていた。

いつもなら、先輩の気まぐれに付き合うのだが、なにせジャムフェスがある。早く布団に入らねばならない。

とはいえ、このまま我が家を先輩の散歩ルートに指定されるわけにはいかない。


…カサ…カサカサカサ…


布団に入ってから聞く先輩の足音は、まるで忍び寄る悪魔のようだ。

時計はすでに朝4時を回っていた。もうすぐ小鳥がさえずり始める時間。

私はしかたなくサバイバルから降りた。

先輩が縦横無尽に我が家を散歩するかもしれないが、今は先輩と遊んでいるわけにはいかないのだ。私にはやるべきことがあるのだ。

あえて言うならば昨夜の敵が先輩なら

今日の敵は

「自分」

なのだから。

布団に入ってから10分ほどは、異常なまでに私の聴覚は研ぎ澄まされていたが、いつしか私は深い暗闇の中に落ちていった。

そして目覚ましの音で起きた。

起きた瞬間に先輩の気配を探ったが、やはり先輩は感じられない。

先輩はどこかに旅立っていったのか?



…それとも…



〜第二章に続く〜
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