Mar25
優しさと強さ
2007年3月25日 ロックノイケニエ奮闘記
片道一車線で前の軽トラがのんびり走っている。
俺はいつもこの道路を80キロで走るから対向車線を利用してブチ抜こうと思ったが、
スピードメーターを見ると50キロを表示していてこの道路の法定速度は40キロ。
うん、そーいうことだ。
大人しく軽トラの後ろをのんびり走っていると交差点に差し掛かり、赤になったのに軽トラは突っ切っていった。
信号無視するぐらいなら最初から飛ばせよ。
その後信号が青に変わって少しゆっくり発進すると対向右折待ちの車がすかさず目の前を横切る、しかも二台。
蚊みたいな奴らだ。

蚊みたいな奴が多い、
こっちが大人しくしてるとフラフラ近づいてきて不快な気分にしたり、
何かにあやかろうとする。
だから時々は威嚇して近づかないようにしなくちゃいけない。
25日仕事出ろだ?
一週三週と日曜出勤しただろが!
限りある時間を吸い取ろうとする蚊。
長らく更新が滞っていたこのコーナー。
色々忙しかったねー、最近は。
しんどくもあり楽しくもあり。
それらが一段落し、ちょっと嫌なことがちらほら。
そーいうネガティブな時期に俺は何かを吐き出す、
表現するという作業が必要みたいだ。
今はそんな感じだから創作モード。
仕事でいつも荷物を積みに行く工場があって、
俺が積む荷物の管理担当者が少し前に変わった。
同い年だがちょっと抜けているイマイ君。
最初は三つぐらい下だと思ったほどだ。
何というかお人好しのいいやつで荷物を積むのを手伝ってくれたり、
渋滞で到着が遅れてもいつも変わらない応対だった。
全くの同い年のやつと知り合うのは、
実はあまりないことだしなんとなくものの感じ方も似てるなと思った。
そしてある日イマイ君が工場をやめると言ってきた。
聞けば入社して4ヶ月で今の担当に回され、
朝は7時半出勤の晩は残業で10時まで。
典型的な中小工場の貧乏暇なし工場員である。
のんびりした感じのイマイ君には向いてなかったんだろなと思った。
そして担当は前任者に戻り、こいつは30過ぎぐらいでよく働く。
荷物なんてこっちのことはお構いなしに荷台に放り込んでくる。
フォークリフトの運転がとても上手く、
工場に是非とも一台、
全自動おまかせ労働マシーンといったところだ。
本体価格100万円でも安いだろう。
社会人として見るとその労働マシーンはイマイ君に比べて圧倒的に強い。
完全に仕事の割り切りができている。
こっちは部品を作る仕事、
あんたはそれを運ぶ仕事、
あんたの苦労なんて知らないよ、
と言わんばかりの仕草が随所に見られる。
イマイ君がお別れを言ってきた時に、トラックの仕事を紹介しようか、と冗談で言ったら彼は、トラックも楽そうに見えてしんどいでしょと言って笑った。
朝誰もいない工場に荷物を積みに行かなければならない時がある。
薄暗くまだ底冷えのする工場で、一人荷物を積んでいる時はさすがに寂しい気分になる。
積む荷物に紙が添付されていて、
「○○運送様ーAM6時積み、AM8時神戸着」
と無機質なタイピングの文字。
朝早いのが運送屋の厳しい所だからね、憤慨はしませんが8時に神戸となるとこっちは4時半に起きて奈良にトラック取りに行って、朝もまだ早いから凍えながらフロントガラスに張り付いた氷を削り落とす。
そんでその作業だけで出発は5時半前。
とって返して山越えて、6時に荷物積んでそっから神戸西区のこれまた山。
ざっとこんな感じ。
そう、別に怒る所じゃない。
でも当たり前のように朝6時、と書かれてるのは人間として見られていない感じがするだけかな。
話は飛んだが、そのことをイマイ君に話したことがあって、彼はそれを覚えていた。
「強くなるということは鈍くなること」
と言ってたのは野島伸司だっけ、脚本家の。
俺もそう思う、ある種肉体、精神が麻痺することに近いと思う。
人を殴ることに慣れているやつは、もう人を傷つけても何とも思わなくなってるんだろう。
俺は滅多なことじゃ人は殴れない。
俺が思う本当の強さは、
イマイ君はまだ社会に毒されていない、相手の立場や気持ちを察する心が残っていた。敏感なんだ、だから弱い。
理不尽な仕事に耐えきれずやめちまった。
でも、そこは根性入れて乗り切らなければならない所だったんだろう。
そう、嫌だなと思いながらも我慢してやる。
己に勝つ、己を超えるということがよく言われるよう本当の強さの一つであり、真理なんだろう。
社会はこっちのことなんておかまいなしに俺達を翻弄し、淘汰する。
負け犬根性が一度身につけば、社会で生きてなんていけない。
搾取されるだけだ。
だから大人達は考えることをやめる。
他人の気持ち、人としての道徳を仕事の効率、利益にすり替える。
皆心は石だ。
俺はそんな大人になりたくねえ。
強さも弱さも必要なんだ。
いつでも答えは自分の心が知っているから、俺はその声を聞いて、クールになる時は厳しくクールに、優しくしたい時はソフトに優しく人に接したい。
そして偏見の目を持たず誰の話もしっかり聞き、自分の中で真贋を見極められる目を持つ。
そうできるのが俺の思う理想の優しい大人だ。
私ごとですが、来月引っ越します。
音楽の道を選んでからは、もう自分の人生の選択肢なんて限られたものしかないんだと思っていた。
音楽を生業とするか、夢破れ今働いている会社に正式に就職するか。
わがままを通した代償だと、もう25なんだし俺の人生は淡々と流れていくものなんだと、狭い了見で勝手に思いこんでいた。
でも人生って本当に何があるかわからないらしい。
そして、学ぶべきこと、与えられる課題は、自分が学ぶ姿勢になればいくらでもあることに気づく。
誰かと暮らすなんて考えたこともなかった。
まだ何も知らないくせに、わかったような気でいた自分を恥ずかしく思うと同時に、そのことでもう26歳と思っていたのがまだ26歳と思えるようになった。
そのことでその人にはとても感謝しているし、俺は今はまだ不完全な優しさだけれど、それをもってその人を守りたいと思う。
そこから何かを学ぶことが、今の俺に与えられた課題なんだと思います。
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