スカーフ

激流の大河、ど真ん中、流れに逆らうことも出来ず、下へ下へ。

流されてゆくわ。

溺れ沈んでしまいたくはないわ。

どうしたらいいのかしら。

川岸をめざして泳いで行くにも、私は激しい流れのなか自由を奪われているの。

流れ着いた先には何があるのかしらなんて考えるくらいの余裕はあるけど、このままだと呼吸するのも難しくなりそうだわ。

浮き輪代わりの浮き輪みたいなやつ。発泡スチロールみたいなやつ。

…は有るわ。

頭の中は冴えまくってるし、何に対しても今なら…異常だけど、正常な判断ができそうよ。

今、生と死の狭間。

私はこの激しい流れに呑まれてしまうのか、それとも、どこかに流れ着くまでこの浮き輪見たいな浮き輪に捉まっていくのか…

冷静な私はかれこれ１０分は、悩んでいる。

過酷ではあるが苦痛ではない、そんな状態が続いている。

過酷さが恐怖を飲み込んでる感じ。

でも私のなかにある恐怖の存在をしっかりと感じることができる。


冷静でいようとしないと、恐怖が暴れだす。

力任せに押さえ込む。

…もうだいぶ流されたし疲れたし、眠いし、そろそろこの状況をどうするか考えないとね。

私には二つの選択肢しかない。

どちらを選んだとしても…

ほんとに眠くてしょうがないわ

私はそんなこと考えながら、いつのまにか眠りの中へ…。