Feb14
SM純文学紹介
2007年2月14日 ねっくん
読み終わりました。
みうらじゅん著「愛にこんがらがって」(原題「スレイブ オブ ラブ)

やはり俺ぁこの人が好きなんだなぁと思いました。

共感できる思考があまりにも多すぎて血反吐過多です。
あくまで思考の向け方がね(笑)

SMなんて興味がないのにSを強要される主人公。
「SはサービスのS」
Mの女を好きになってしまい、彼女の心に応える為にはSにならねばならない。「愛してる」なんて甘い言葉を口にしようものなら「ツマラナイ」と去っていってしまう。

あまりにも平凡で裕福な家庭に育った主人公。
若い頃に想った「ロック」のあるべき姿はもっとハングリー。
幸せな事がコンプレックス。

SMなどというあまりにも奇怪すぎて世間から蔑まれることを通りこして無視されている性癖に身を投じることによって、そんな平凡コンプレックスを打ち破れるんじゃないの?

でも、怖い。

欲しいのは「名誉?」「金?」「ロック理想像?」

”否!”

「愛されたいだけなのに」
そんな弱い自分に腹が立つ。「名誉が欲しい!」とキッパリ言い切れるカッコ良さが欲しい。「金が欲しい。俺を蔑む奴は馬鹿だ!」と言える心が欲しい。「アンタら上流階級には俺の音楽は理解できないよ。」なんて呟きながら注射を打って唄いたい。

「でも、そんなのできっこないよ。ああ、腹が立つ!情けない!・・・でもそんな弱い自分が死ぬほどに好き!」

主人公は体だけの関係であったハズのM女をいつの間にか愛してしまう。名誉は傷つき、妻には逃げられ、親友を失くす。

「私は一生、ご主人様の奴隷です。」
そんな言葉が重かった。「一生」という言葉に耐え切れずに「死ね!」と叫んで一度は捨てた。
「メジャーデビューに奴隷は邪魔」
「幸せな新婚家庭に奴隷は邪魔」
彼は自分の嫌いな「大人」を演じていることに気付く。

最後に男は叫ぶのである。
「お前は一生、俺の奴隷だ!」

そして本書はこんな言葉で締めくくられる。
「そして僕はたった一人 ”永遠”という言葉を愛ではなく別離に感じて泣いた <中略> 愛の報酬は君が死んだら僕も死ねること」

ん~・・・哲学?・・・
愛されたいってなに?
『奴隷からは一生見捨てられることはないから?』
そんな事を考えてか考えずか彼の出した応え。

糸井重里氏がみうら氏について言った。
「彼は見苦しいほどに愛されたい男」
何だか、よくわかった。そしてまた魅力に憑かれた。


<興味のある方へ>
気をつけて下さい。3割くらい官能小説ノリです(笑)
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