Oct24
「指の隙間から見たい映画」  
2006年10月24日 ねっくん
もうすぐ公開なのかな?
岩井俊二監督作品『虹の女神』。
俺は結構、この監督の映画が好きである。初めてみたのは「スワロウテイル」だっただろうか?「円都」で「イェンタウン」という変にリアリティあり幻想的でもある未来の発想に驚かされた。人気絶頂の俳優がこぞって出演していた。主演はチャラ。って有名映画だからこんな説明はいらんかな。
んで、今回の『虹の女神』。CMで見て、「おっ、岩井俊二」って思った。しかし、原作 桜井亜美 と表示。
嗚呼・・。
ファンの人はココから読まないでね、
悪口込みなんでゴメンナサイ。


実は俺、この作家が嫌いなんであります。3作ぐらいは読んだんだけど。どれも、売春・麻薬・鬱病・金・暴力、、etc
こーゆーのが何かしら3つくらいコンボで使われている。
そりゃ~現代社会の汚れた部分を切り取って、その中にあるピュアを露出させれば感動もするかも知れない。それはそれで悪くない。俺みたいなペーペーが言うのもなんだが、文章のクオリティも高いし。でも、タイミングが悪い。
売れる小説には「ブーム」っていうのがある。
この作家がガンガン本を出し始めた頃は、そりゃあもうこの手の「売春・麻薬・・・」みたいなのがテーマになってる作品がブームだった。つまり、その後にも先にも俺はこの手の本を読んだ。しかし、同じ作家で3作もやられるとさすがにウンザリする。「暗けりゃ売れるブーム」全盛中だったのである。
確かに、世間がそういう「暗い現実」を直視するのが流行った時代でもあった。繁華街で簡単に麻薬が手に入るというある意味当たり前の事実を世間が遅ればせながら問題にし始めた時期。高度経済成長の時代は、俺は生きてないか幼かったわけで、そういうダークな部分を世間が本当に無視していたかどうかのニュアンスまでは知らない。でも、確かに、そのとき「ブーム」はあった。
俺は戦後作家と呼ばれる大戦直後の文壇が好きなので、「何で今さら」と感じた。当然のことであるが、今より戦後すぐの方が荒んでいた。当時の小説の方が遥かに「汚くイカれて」いた。何故に、現代でそんな本が売れるのだろう、と思った。その汚さを「衝撃!」などというメディアが馬鹿らしく思えた。まるで、本を読む人はキレイで、本を読まない人は汚いのか、とさえ思う。「本を読むようなキレイな文化人は、オメェらキタネェ下層人間の日常なんて知らねんだよ。」そう言われた気分であった。今、思えば俺が中高生の頃の「多重人格小説ブーム」の方が遥かに健全だったと俺は思う。

何か、コレを書いてると、この作家が嫌いなんじゃなくて当事のメディアが嫌いなんじゃないか、と思い始めたりするw

最後に誰も知らないと思われる作品を紹介。暗闇小説の中では一番だと思う。それは俺が、あろうことに気でも違ったのか、一瞬作家を志そうとした契機になった作品である。高校1年の頃、学習時間に隠れて小説を書き、自分のダメさに失望しその道を難なく諦めたわけであるw
その作品は雑誌ヤングジャンプに掲載された原作大賞作品である。最近のYJはこんな粋な企画はないんだが。

『極私的夢想世界旅行情景』text by 尾本セイノ
このストーリー要約を書いたんだが、たった今削除した。
なんとなく。

心に響くであろう表現の一部を・・・。
主人公の女:
「うちのクラブは女子高生ばかりよ。女子高生ってだけで、体を売る資格のないような子までやってるわ。」
「イイ男に限ってバカ女にひっかかるし。バカ女はイイ女を妬んでて、イイ女はバカ女を差別してる。でも、バカ女を憎まない男はイイ女を見抜けないバカな男で、結局イイ男ってそんなにいなくて、その事わかってるのもイイ女だけよ」
弁護士の男:
「男には頭カラっぽのバカ女でも可愛く見える時期がある」
白髪で年老いた詩人:
「体臭を臭いなんていう輩に私の詩は理解できないよ。私は犬になりたいと思っている。」
19歳のチーマー:
「いくら傷ついても生き方なんて簡単に変わりはしない。」
「そう、オレちゃまるでダイスケハナコだ。」
主人公の女を好きな(好きだった)男:
「おまえの事、誤解してた。」

ああ、1年以上ぶりに読み返したら。また心が変な風になった。やっぱりこの13ページしかない小説には揺さぶる力があるらしい。

岩井俊二から何故にこの話題に・・・。
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