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DVDレビュー
2009年1月01日 アイ・ドント・ノウ staff
アイ・ドント・ノウLIVE DVD「悪いがヲマエにはここで死んでもらう。」のレビューを、Kitchen Knife Records代表のナカミネタカヒロさんが書いてくださいました。


アンダーグラウンド。文字通り、地下におけるライヴ映像。しかし真の意味での地下での出来事がドキュメントとして記録されることはほとんど無い。ヤギケンジロウ、アイドントノウ。彼が今、新宿のアンダーグラウンドの帝王として君臨する、不思議なカリスマを持つ男である。彼は地下の暗きにおける弱き者たちの異形のアイドルだ。そのサウンドは、強靭に切り刻む変則的なリズムと、殺傷以外に目的を持たぬかの如きギター、そしてなによりも、ひょっとすると早死にしたロック歌手並みに熱いかもしれない彼自身のどうしようもない叫びにある。女装そして愛のメイキャップ。異形のロッカー。使い古された言葉ではある。異形の踊り子ならば新宿や高円寺のライヴハウスにいけばいくらでも見つかるだう。だが、本物のロッカーと呼べる者がどれだけいるだろうか。鋼のようなリズムとシルクのようなコードを自在に紡ぎ出すその音楽性の高さには驚くばかりだ。ただ彼に誤算があったとすれば、彼自身の不器用さと、たたきつけるしかない怒りによって、そのリズムは誰の予想もはるかに越えて大きなうねりとなっていったことだ。それはこのDVDに収録された観客たちの狂いっぷりを見れば理解できるだろう。「オマエたちと同じ空気など吸えるか!」ステージから、彼らは本気でそう叫んでいるのだ。アイ・ドント・ノウ、そしてヤギケンジロウ。彼ら
はきっとこれからも、地下の住人たちの冷酷な救済者であり続けるに違いない。

ナカミネタカヒロ(IMARiToNES/AboveDaWorld/Kitchen Knife Records)
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